第24章 その先に待っているもの
息を切らしながら時々歩いて、走ってを繰り返すと商店街にたどり着いた。
ここまで来れば…
買い物客の多い商店街の中を休憩がてらゆっくり歩き続け、やがて道に出る。
信号を待ちながら辺りを見渡すと、心臓が嫌な動きをし始め
所謂嫌な予感という物が脳内を占めてきた。
少し離れたところから走ってきている車がさっきの車に似ているからだ。
丁度青になった信号を渡り、車が来ている方向に走り出す。
流石にこの道路じゃUターンは出来ない。
成る可く顔を背け、通行人に紛れながら駆け足で去る
また目が合ったらと考えると怖くて確認も出来なかった。
こんなに走ってきたのに、まだ追われているという恐怖心にはもう打ち勝てそうに無い。
通行人画不思議そうに顔を見てくる
無理も無いだろう。
白昼堂々と目に涙を浮かべながら走っているなんて、きっと逆の立場でもそうなるから。
頭が真っ白になりかけながらも、安室さんに連絡をするしかもう手段は無かった。
電話じゃなく、メッセージを震える手で送ると直ぐに既読が付いてから電話がかかってきた。
『も、もしもし…』
「みなみさん!どうしたんだ?!今どこに?!」
『なんかっ、知らない人に追われててっ…今、えっとっ左側の路地に入って…道路を挟んだ右側にコンビニが…っ』
「みなみさん!路地に入っては駄目だ!成る可く人の多い所に居るんだ、今向かう」
『うぅっ…ありがと…ございます…っ』
安室さんと通話が繋がった瞬間、安堵の気持ちと共に浮かんでいた涙も溢れ出た。
だけど…今更この長そうな路地を抜けることは出来ない。
もう既に自分が進んできた方向からはこつこつと足音が迫っている。
安室さんと繋がったままのスマホを手に持って走りながら
後ろを振り返ると涙で滲むせいでボヤけてよく見えない。
スマホから聞こえる声に返事を出来ないまま前を向いた瞬間
少し柔らかくて硬い何かに当たってしまった
人気の無い路地でも、それは直ぐに人間だと分かった。
「おや、これは失礼。お怪我は無いですか?」