第24章 その先に待っているもの
溜め息が溢れ出すと同時に顔を上げた瞬間、数十メートルぐらい先にさっきの男性が辺りを見渡しながら歩いている。
『嘘…』
急いで近くのエスカレーターに乗って様子を確認すると視線が合ってしまった。
そのままエスカレーターを急いで降りていくと、確実に近付いて来ている事だけはしっかりと分かる
「あのー」
「あ、まって!」
背後から呼びかける声が聞こえる。
恐らくその人の声だろう
だけど振り向く勇気なんて無いし、それにこの状況で返事をする人なんて居るだろうか。
1階に辿り着くと幸いにも人が増えていた。
人混みに紛れながら反対側の出口まで一目散に走る
じわじわと溢れ出てくる冷汗が心地悪い。
恐怖心でいっぱいな中、漸くデパートを出る事ができた。
丁度青になった信号を走り抜け、土地勘の無い米花町をひたすら走る。
あの人は車に乗っていたし、きっとあれから駐車場に戻って車に乗る筈。
その間に何処か遠くに行かないと。
行く宛ても無いからタクシーを呼んで米花町を出てもその後は危険だし
警察を呼ぶ事も勇気が出なくて無理だった。
真純ちゃんにこんな事相談するのも危険だし、かと言って安室さんは今仕事中だし…
でも、安室さんの言う監視って…?
あの人はもしかして安室さんに監視を頼まれた人?
だけど監視ってあんな露骨に追ってくるものなの?
安室さんがそんな強引な事をする人には思えなかった。
何故かは分からない。分からないけど…
直感でそう感じた。