第4章 新しい人生
カフェを出てまた買い物を再開すると、今度は腕を組みながら歩く事に。
腰を抱かれながら歩くのも凄く良かったけど、こうやって普通の恋人同士の様に歩くのは特別な感じがして。
私にもいつか心から好きだと思い合える人とそんな日が来るのかな?
どうせ誰かを好きになったって…って考えで生きてきたのに、異性への好意なんて必要無いって思ってきたのに
こんなに近くに居るようできっと遠い存在な沖矢さんの事が…
分かっていても自分の感情に気付きたく無かった。
毎回すぐに察知して気遣ってくれて、沖矢さんと居る時は何だかんだ安心感に包まれて、今も面倒な顔一つもせずに私に似合うようなワンピースを選んでくれて
「これはとてもみなみさんにお似合いですよ、それからこれらは私からのプレゼントです」
これ以上私の中に芽生えてしまった感情に気付かせようとしないで…
だって沖矢さんは…私の事を1ミリもそう思ってないんでしょ?
って
『へ?』
「どうぞ。それとも…お気に召さないですか?」
『え、いえ!違います!』
すっかり考え込んでしまったせいでいつの間にか事が進んでて
沖矢さんが私の為に一式選んでプレゼントまでしてくれてた事に気付かなかった
『なんか、すみません…ありがとうございます。沖矢さんに選んで頂けて嬉しいです』
「それは何よりです、私のセンスが疑われる所かもしれないですが…みなみさんはきっと何でも似合う筈です」
『はい!凄く可愛いです。本当にありがとうございます』
「良いんですよ、みなみさんのその顔が見れて光栄です」
結局素直に笑顔で喜んでる私が居て、私って思ってたよりも単純なんだなって。
直ぐに複雑化させてしまう癖があるけど、この世界は私にとって特別なもの
馬鹿みたいに難しい事は考える必要が無いのかも。
それに私はここで新しい人生を送るって決めたしね
少しずつでもそうしていければ。
『他のお店も見て良いですか?』
「ええ、勿論」
今さっきまでずっと何か考えてる様子だったが、漸く気を許した様だな。
それなのにさっきの出来事と来れば…
こいつはただの単純な女では無い。尚更面白いじゃないか