第4章 新しい人生
車から出てお互い煙草を取り出す。
「みなみさんから煙草の味がしたので、もしやと思い」
『はい、何だかそう言われると色々思い出して恥ずかしいです…』
「私の前で恥じる事は何一つありませんよ」
ほんとにサラッとそういう事言えちゃうのって凄いと思う。
もしかしてチャラい人なの?そんな感じはしないけど…
煙草を咥えるとライターを忘れた事に気付く。
先に煙草に火を付けた沖矢さんが咥えたまま煙草を二本指で抑えて、火のついていない私の煙草とそっと密着させ火を点火させる。
『シガーキス、久々です…良いものですね』
「ホォ、過去にもあったのですね?ではこれからは私とだけにしてくださいね?」
『はい…』
所々ドキドキする様な事を言ってくるけど大分落ち着いてきた。
今度は違う意味で緊張するけど…
まだ沖矢さんの体の感触も味も頭から離れない
一服を終えると
「それでは、私から離れない様に」って腰を抱かれる。
色んな感情がごっちゃになってて…ちゃんとお買い物できるかな
さっきはもっと接近してたけど今も凄く距離が近くて…
横に並ぶと沖矢さんの身長の高さと、男性らしい立派な体格も大きな手も、沖矢さんから伝わる体温も全てを感じ取る事が出来た。
もしあのまま…なんて考えてしまうのは仕方が無い。
そんなに魅力的な沖矢さんが悪いんだよ
『沖矢さんは何処か見たい所はありますか?』
「いえ、私の事はお構いなく。今日はみなみさんの為に来たので」
『ありがとうございます…』
沖矢さんの香りに包まれながら、ずっと密着させたままなのは良いんだけど…色々気にしちゃう性格だから正直やりずらい…
下着も見たいし…沖矢さんってランジェリーショップにも着いてくるのかな?
想像したら何だか少し可笑しかった。
そんな私に気付いたのか、気を使ってくれてカフェで軽く休憩をしながら
普通に他愛も無い会話をしたらさっきよりも気が楽になっていた。
次こそはちゃんと買い物をしよう