第24章 その先に待っているもの
「せやから、米花町は向こうや言うとるやろ!」
「何言っとん?!こっちに決まっとるやろ!」
「いいや、向こうや」
「こっちやて!もー!はよせんと蘭ちゃん達との待ち合わせに遅れてまうやん!」
「和葉お前迷ったんとちゃうんか?!」
「そ、そんなんとちゃうねん!ほんならもう聞くからええねん!」
「せやからあっちや言うとるやろ!」
背後から聞こえてくるカップルらしき男女の声が近付いてきて、少し話し掛け難い雰囲気だけど...
聞いてみるしかない...
『「あの...!」』
後ろを向いたら、スーツケースを引いたポニーテールの子と見事にハモってしまった。
隣に居る色黒の子は眉を顰めて少し不満げな顔をしている...
『あっ...どうぞ』
「米花町って向こうの方で合ってはります?」
『ん、米花町...?えっと...』
聞いた事の無い地名にまた驚いてしまって口を閉じてしまった
「おい和葉、このネエちゃん全然分からへんっちゅう顔してんで」
ポニーテールの子に耳打ちしている様子だけど、普通に丸聞こえで
それに本当にその通りだった。
『ごめんなさい、私も何も分からなくて...』
「ええねんええねん!それより、さっきトイレですれ違ったねんな!どないしたん?なんか顔色が真っ青になっとるで?」
「確かにそうや、冷汗も出とる。ネエちゃん何したんや?」
急いでいる様子の二人に応える事は出来なかったのに、それ所か心配までしてくれる優しさに申し訳なくなる。
そして今そんなにやばい顔をしているのかと言う事にも驚く。
ポニーテールの子に続いて隣の子は怪訝そうにこちらを見てくる
『い、いや...何も...』