第24章 その先に待っているもの
「ジョディさん、あそこ...」
「ええ、私も。同じ事を思ったわ」
「妙ですね...こんな奥まった場所に一軒だけ雑居ビルがあるのは」
「そうね、かなり怪しいわ。犯罪に使われていてもおかしくなさそうな場所ね。キャメル、慎重に近付くわよ」
銃を構えながら気配を消しつつも、慎重に近付くとビル窓ガラスはしっかり割れていた。
こんな所にシュウは居ないって分かっているのに...
だけど、発見した以上見ない訳にはいかなかった。
木陰に隠れながらもビルの入口に近付いた。
「キャメル、入るわよ」
「はい、ジョディさん」
銃を向けながら入口に入ると、そこに人の気配等は一切無い。
無言のままキャメルと目を合わせて、首を横に振る。
このまま上に行く というジェスチャーを伝え、引き続き気配を消しながら階段に足を踏み入れた。
どうやら此処に入ってきた様だな。
窓から確認する余裕は無かった為、目の前にあるスチール棚の一番下に身を潜める。
が、錆びている為こいつを引いたら確実に音が出て気付かれてしまう。
幸いにもこのビルには日光が射さない為、早朝である今でも差程見えんだろう
不味いな。
階段を登り出している。
息を潜め、階段から聞こえる微かな足音を聞き分けるに
こいつはヒールと革靴の踵の部分か?
階段を登りきったのか、足音が消えた。
再び、キャメルと目を合わせ首を横に振る。
分かっていても、ビル内でシュウを確認出来なかった事に落胆しつつも
誰も居なかった事に少し気が抜けたまま一階へ。
「やっぱり...居なかったですね、赤井さん」
「ええ...こんな所に居る訳なんて無いのに、でも何故だかこのビルを見た時に強くそう思ってしまったの」
「ジョディさん...大丈夫です、まだ探す場所なら沢山あります。次に行きましょう」
「そうね、ありがとうキャメル。車に戻るわよ」
ビルを出ようとした時だった。
二階から何か物が落ちた音が。