第4章 新しい人生
日の当たらない立体駐車場なんかの中で、こんなにも私は欲情させられて
硬い腹筋をなぞる手は止まらなくて。
止めないといけないのに。
顎付近に添えられていた手が触れている私の腕へと伸びてきて
そのまま手首を掴まれたと同時に唇が離れる。
『はあ…はっ…沖矢さん…』
「みなみさん…此処では…駄目です私の歯止めが効かなくなりますので…」
『ごめんなさい…突然…』
お互いに少し息を切らしながら吐息混じりにそう話す沖矢さんも凄く魅力的で。
掴んだ腕をゆっくりと元の位置へ戻し、そのまま手の甲へキスを落とし
「いえ、私は凄く嬉しかったですよ。私は貴女と…こうなりたかった。」
『沖矢さん…』
「ええ、事実ですよ。貴女は魅力的すぎる。私の中の理性が今にも壊れそうですよ」
なんで少し笑いながら話す沖矢さん。
お陰で少し気まずさは無くなった。
本当は引いてるのかな?私の方からキスしちゃったし…
『本当に、ごめんなさい…私も、沖矢さんがあまりにも…素敵で』
「みなみさんにそこまで言って頂けるのは幸いだ。続きはまたあとで」
こんな直後に耳元で言われて力が抜けそうで、少し恥ずかしい。
正直、凄く疼いてて今すぐにでも沖矢さんが欲しかった。
・
困ったものだ。
こいつを降谷君との接触回避の為とこちら側に付かせる為に今日は来たのに
会話を交わす度に、目が会う度に、認めたくないが無意識下ですら
こいつに惹かれて行く俺が居る。
この欲情した顔を前に平常心で居れないのは沖矢の状態だからなのだろうか
煽った俺も悪いが
身を任せるままにみなみを求めそうになったが、そういう訳にはいかん
チョーカーの存在も場所も全てが不都合だ。
こいつへのこれはただの欲から来る物なのか、それとも…
前者ならどれだけ楽だった事か。
沖矢に惚れて貰うのは好都合だが、厄介な事にそんな単純な感情では治まりそうに無い。
沖矢は俺であっても本当の俺では無い。
にしても積極的な女だ。
今すぐこいつを抱けたらどれだけ良いだろうか。
脳内の邪念の様なものを払う為に
「みなみさん、少々一服しましょうか」
今はこれで良い。