第4章 新しい人生
『沖矢さん!ここまで来てくれたんですか?ありがとうございます』
「ええ勿論。みなみさんに一人で来て貰う訳にはいかないですからね」
『ありがとうございます』
「それでは行きましょうか」
二人でホテルを出て車の前まで来ると、助手席のドアまで開けてくれちゃう
紳士的だな…
車に乗り込み、目的地を話して出発。
沖矢さんの車に乗るのは二回目。
あの時は色々落ち着かなくて余裕が無かったけど、今なら心にも余裕がある
車内は沖矢さんの香りがして。それに包まれてる感覚で
横から見る運転をしている沖矢さんの姿も凄くかっこいい。
ハイネックセーターを着ていて、捲った袖から覗くハンドルを握る腕は
大人しそうな見た目に反して凄く立派で、筋肉の筋も、少し浮きでた血管も
手や腕フェチな自分に取っては堪らない…
鍛えてるのかな?
にしても男の人の着るセーターとかニットって凄く良い。
沖矢さんって脱いだら…どんな感じなんだろう
真昼間からこんな事考えてる自分に少し嫌気がさすけど…
気になっちゃうんだもん。
沖矢さんは毎回ハイネックの服を着ているけど何か意味はあるのかな?
そういう服が好きなだけ?
「みなみさん、気分はどうですか?座席も好きに調整してくださいね」
『気分は、良い…けど…緊張してます』
「緊張、ですか。奇遇ですね、私もみなみさんと同じですよ。女性を乗せるのは初なもので…」
『そうなんですか?沖矢さん凄くモテそうなので…』
「それはどうも、ですが残念な事に女性関係は随分とご無沙汰してまして。みなみさんはどうなんですか?向こうに恋人は」
『それは意外でした。私も居ません、あまり恋人を作る事が得意ではなくて…』
「と言うと?」
『上手く言えないけど、いつか終わるものをそんな態々…って思っちゃって。だからその場限りだったり、お願いされてもこれ以上は断ったり』
「なるほど、確かに誰かを失う というのは心にも脳にも大きなショックを与えますが、そこから得られる物もきっとある筈です」
沖矢さんも誰かを失った事はあるのかな
まあこんなかっこいいのならあるよね