第23章 追憶の果て
病院…病院、救急車が行けるぐらいの病院となればやっぱり大きな場所であって。
この地域に引越してからは差程経っていなかった為、いつもは近くにある大きくは無い病院がかかりつけ医だったし…
大きな病院にお世話になる様な事も無かった為、直ぐには病院の名前が出せなかった。
『ちょっと調べてみますね』
「あら、体調は良くなったのかい?」
『えっ?』
スマホに視線を向けた途端に、背後から老婦の声が。
振り向くとそこにはお隣の池田さんが居て。
「ええ、どうやら睡眠不足が原因だった様で。まあ、旅行ともなれば気が高まって眠れなくなる気持ちも分かりますね」
「あら、そうだったの!それは良かったわね〜 楽しめたみたいで、ねえ?」
『ええ、お陰ですっかり元気にもなれましたし!』
赤井さんと池田さんは普通に面識がある感じになってるし…
私が寝ている時に会ったのだろう、赤井さんなら確実に一旦外に出そうだし
不自然に思われない様に赤井さんが作ってくれた話に乗る。
「それにしても、また男前な人捕まえちゃって〜」
肩を軽く叩いてきながら頬を緩ます池田さんは何とも嬉しそうで。
何だか自分まで微笑ましくなる
『はい、とても素敵な方です』
「良いわね〜!私もあの頃が恋しいわ〜 これからデート?」
『いえ、散歩をしていました!まあ、これもデートに入るの、かも…』
「あら!ラブラブじゃないの〜!でも気をつけるのよ、最近この辺で事故があったみたいだからねえ…」
「事故、ですか?」
「そうよ!丁度この辺りだったわね、お隣の田中さんが言うには若い女の子が轢かれたみたいでね…怖いわね〜」
『そう、だったんですね…』
「この静かな地域で事故とは物騒ですね。その女性の安否等はご存知で?私達は最近旅行で留守にしていたので最近の事は頭に入っていなくて…」
「そうねえ…4日前ぐらいだったかしらね、サイレンの音がこっちまで聞こえてきたから、でもその後は分からないわ…」
「成程…ありがとうございます。池田さんはこの後何方へ?」
「私はこの後薬を貰いに病院へ行ってくるのよ。あら!そろそろ行かないと!じゃあ、二人とも仲良くね」
『はい、また!』