第23章 追憶の果て
赤井さんに全てを話し終えた。
同じく、自分でも疑問は残っていて。
気になる事なんて幾つもあるけど、今一番気になるのはあの事故の後。
別の次元に行くなんて到底は有り得ない話。
だけど実際にそれが自分の身に起きた訳であり、こんな事は死なない限り無理な話に決まってる。
でも、赤井さんまでもがこっちに来てしまった。
あの赤井さんが死ぬ訳無いし…
此処に戻ってきてしまったのは、何か理由があるのかもしれない。
あの事故の日からまだ一年は経っていないみたい。
向こうとの時間の流れはやっぱり違うのだろう
『嘘…』
見慣れたこの部屋を改めてしっかり見渡すと、あの日持っていたバッグがクローゼットの中にしっかりと置いてある。
「どうした」
『あのバッグ…丁度その日に持っていた物なんです』
ただでさえおかしな状況なのに、余計に頭が混乱してきた。
あの状況でどうやったらその時の所持品や洋服がここに戻ってくるのだろう。
バッグの中身もあの時のままで。
スマホは今でも電源がちゃんと着いて充電も半分以上は入ったまま。
あれから差程こっちは時が流れていない為、通知は何件か入っているぐらいだった。
それらを確認した後に直ぐこの近くで起こった事故について検索をかける
「ホー、そんな所にも俺が居るのか」
『えっ?』
赤井さんの視線は、スマホの背面に入れていたチェキ風の赤井さんのカードを目視している
『あっ!これは、まあ…』
赤井さんのファンだったと言っていたとはいえ、さっき蘇った記憶を全て話した上でだと改めて何だか恥ずかしい…
この地域で今年起きた事故を検索しても、それらしき物はヒットしなかった。
こうなれば、もうあの現場に行くしか無かった。
そこで何かしら手がかりが掴めれば良いけど⋯
『赤井さん、事故が起きた場所はここから近いので良かったら一緒に行きませんか?もしかしたら何か分かるかもしれないし…』