第23章 追憶の果て
こんな状況でも、何かあるかもしれない。
そう思い、立ち上がってとりあえず直進する
当然なのだろうけど、誰か居るのか声を掛けても何も返ってこなく
ただこの何も無い暗闇に自分の声が沈んでいくだけだった。
この暗闇をどのくらい歩き続けただろうか
自ら死を選び望んだ世界が思った物とは違かったが為に、只管に何かを求めている事はどこか滑稽にも思えてくる。
何処へ向かっているのかも分からないまま進み続けると
少し先に不自然に小さな光の様な物が上から射し込んでいる。
それが何かは分からないけど、今は縋る様な思いでいっぱいだった。
息を切らしながらも走り続けると、確実に光に近付いていった
近付く程に光の眩しさが増していく。
更に近付いて行き、光に包まれると
そこはとても暖かくて、まるで何かに抱きしめられている気がして。
光を直視しようと顔を上げると、途端に頭に鈍痛が走る。
反射的にしゃがみ込み、手で目を覆うと何処かからか
自分の名前を呼ぶ声が聞こえる。
よく聞きなれた様な声なのに、それが誰なのかは分からなくて。
何度も名前を呼び続ける誰かの声と、頭に走る激痛に耐えられなかった。
呼ばれる度に痛みが増していく気がして。
『もうっ、やめて…』
「おい、みなみ!しっかりしろ、目を覚ますんだ」