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スモーカー【名探偵コナン】

第22章 またおわり?


「お疲れ様でした」



仕事を終え、座る事の出来ない電車に揺られ、いつもと同じ改札を出て
街灯に照らされたいつもと同じ帰り道を歩き、真っ暗な部屋を照らす。



スーツを脱ぐ気力すらも無く、ソファに座れば大きな溜息以外は出てこない。



パターン化されたこの退屈な日々に少しでも彩りを見出してくれていたのは
赤井秀一の存在だけだった



だけど赤井秀一がこの世に存在する訳もなく。
勿論そんな事は痛い程分かっている


何度その世界に行ってしまいたいと思った事か。



自分の精神状態はとっくに限界を迎えている事も分かっていた
こうなったのはいつからだっただろうか。



所謂“推し”と言う存在が居て、その存在に救われているとしても
限度という物がある。



自分の人生は自分で楽しませるという物も、こうなってしまってはやりようが無い。



推しの存在に逃避するのも良いけど、現実と向き合う気力はもう無い。



恋愛をしたい気持ちにもならず、恋人も欲しくなかった



かといって仕事を頑張りたい訳でも無く、ただもう楽になりたかった。



これを“逃げ”と捉える人は沢山居るだろうけども。
別にどう思われようがもうどうでも良かった



今まで逃げなかった結果がこれな訳だ。
ならもう逃げたって良いだろう。




まあそしたらもう赤井秀一を見る事は出来なくなるけど…
天国からでも見れたりするんじゃない?
そもそも天国に行けるのかな





なんて事を毎晩の様に考えていた。

毎回最後にはこの疑問が残り、一人で可笑しくなって馬鹿馬鹿しくなる
それの繰り返しだった。



死ぬ勇気が完全にある訳じゃない

だけどもこの暗い感情とこれからも付き合って生きていく気は無い。



病院にはかかっていない
治したいと言う意思は無かった。
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