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スモーカー【名探偵コナン】

第21章 お咎め


「そういえば赤井さんは今日、こちらでしたね」

駐車場に戻ると、赤いスバルが目に入ったキャメルがそう言う。

「ああ、今日はこの後私用があってな 後は頼んだぞ」

「えっ?私用ですって?そうならそうと早く言いなさいよ」

「すまん。まあそういう事だ、あとは頼んだぞ」

「あ、ちょっと!シュウ!」


二人には悪いが今日の用は元々早めに切り上げる予定でいた。
みなみには敢えて遅くなると伝えたが、偶にはあいつを驚かせてやりたかった。



俺の帰宅時間を話した時、一瞬どこか安堵した表情を見逃さなかった

みなみの事だろう。
きっと面接は取りつける事が出来たものの、当日に俺の休日と被らないかどうかの不安や、この事をどう俺に話すか
それらをやり遂げ、考える余裕が出来た事にあの表情を見せたのだろう。


まだ昼間であるこの時間に、遅くなる筈の俺が帰ったらみなみはどんな反応するか
少々意地悪をしてやりたかった。


“少し散歩に行ってきます”

…散歩か。
随分と余裕な様だ。現在地の進み具合からしてそれは事実だろう。


みなみの居る駅方面からはさほど遠くは無い。
そこで驚かせてやるとするか


信号待ちの度に位置を確認するが、徐々に散歩ルートでは無い場所へ向かっている。

みなみが一人であの方面へ行くのは初めてだろう
一体何故そこに?


いや、まさかな


ボウヤがみなみと最初に出会ったのはあの周辺だ。
となればみなみは自らがこの世界に来たと言う場所に行くつもりなのか?


考える程に嫌な予感が脳内をかけ巡らせる。




小さな林に足を踏み入れるとその中は人一人も居なく、太陽が射し込んでいるにも関わらずどこかに迷い込んだ気がして怖くなってきた。

あの時は此処を抜け出す為に駆け抜けた場所を今度は逆から探す為にゆっくり歩いている。

あれからこうなるとは、当時の自分は想像もつかなかっただろう。


湿り気のある土の上に散った葉を踏み歩きながら数分。
例の小さなビルの様なものが見えてきた


それにしてもどうしてこんな…
奥まった場所にポツリと窓ガラスも割れた小さなビルが建ったままなのだろう?

人目にもつかない場所だし、まるでこの世界と元の世界を繋いでいる場所みたいで。
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