第20章 本音
何を言っているんだろ本当に...
いくら赤井さんがそう言ったからって普通こんな正直に言うかよ...
最低だ
「そいつは心外だな」
『!ごめんなさい...本当。こんな...、最低ですね』
「いや、俺にも落ち目があると言う事だな」
赤井さんの様子はさっきとは違って威圧感みたいなものが消えた。
『落ち目なんて、そんな物は一切無いです!ただ私が悪いんです...赤井さんはずっとどんな時でも私の事を見てくれていたのに、私は...』
自分が悪いのは勿論そうで。だけど 私が悪いんです なんて
気を使わせてしまうような、そんな言葉が出てくる自分に腹が立つ
「よせ。それらはもう既に起きてしまった事なんだ、分かるだろう?」
『はい...』
「お前は自らそれを認め、今こうして俺に話してくれたじゃないか。それは大きな進歩だぞ」
全く。
俺はこんなに女に対して寛容だったか?
本来ならもう少々泣かせてやりたかったがな
まあそれは後でにしてやるか。
『全然です...』
こんな時なのに赤井さんは寛容すぎて、それが正直かえって怖い。
赤井さんの事は言うまでも無く大好きだし、というより、愛してる
口には出してないのに、こうやって頭の中でその言葉を浮かべるだけで何だか恥ずかしい。
赤井さんとは勿論ずっと一緒に居たい。
だけど申し訳ないという気持ちが勝ってしまう。
「みなみ、こっちを見ろ」
俯き気味に涙を浮かべるこいつを見るのは正直悪くはないな。
だが、咎め無しかどうかは俺が決める事だ。
今の状況は言うまでも無く、浮気を詰められそして言葉を詰まらせて
今にも泣き出しそうな、かなりみっともない状態
情けないとは正にこの事だろう。
というより、赤井さんはどうして...こんな時なのに、そんなに冷静で優しくしてくれるの?
それは私に身寄りが無いから、あくまでも警察関係者としての公正な判断で?
だって、こんな...自分のさっきまでの言動は認めてるも同然
ましてや切れ者の赤井さんが見抜かないわけが無く。
もしそういう判断なら、これでは更に赤井さんのお荷物になってしまう。
好きだからこそ、彼にそんな事をさせたくはない