第19章 悪夢からの解放
零が部屋を去って、ぽつりとベッドの上に取り残される。
外も暗くなってきた事だし、カーテンを閉めて電気をつけよう
あの潜水艦から脱出する事が出来て、今は一人だけどこうして安全な場所に居られる事は心が羽のように軽くなる感覚があって。
それにあんなに監視されていたし…
「どうかされましたか?」
「申し訳ないですが、降谷さんが戻るまでこの部屋から出すなと言われているので…」
『はい!すみません…』
まあ、部屋の外に公安の人が二人付いているけど…
自分なんかの為に、こんなにがっちり守られているのは
まるで映画の世界に居るみたいで……
まあそもそもこの世界に来たという事実だけで十分すぎるぐらいありえない話だけど
でも正直開放感があって。
零はいつ戻ってくるのかも、何時に工藤邸に戻れるのかもまだ分からない
今は何も深い事は考えずに、それまで心と体を休めよう。
赤井さんからは連絡は届いてないけど…それは決して悪い意味では無い事ぐらい分かってる。
あと少しすれば会えるだろうし、顔が見えないメールや電話よりも直接会う方が嬉しい
零には聞けなかったけど、哀ちゃんはどうなったんだろう。
コナン君達からも届かないし聞くにも聞けないし
でもきっとコナン君が助けてくれたに違いない
どうか無事で居て欲しい。
ソファでテレビを見ていてもあまり集中できる物は放送されていなくて…
ただ何も考えずにボーっと時間が経過していくのを感じる
あとどのくらいかかるんたろう……
気付けば意識を手放していて、ソファの端に頭を預けて居たはずが
暖かくて優しいなにかに包まれている感覚がして。
「おはよう」
『!零…!』
隣に座っている零の肩で目を覚ます。
寝起きで、驚いた様子をクスクスと可笑しそうに笑う零を見ると、何だか自分までおかしくって。
『いつから?』
「そうだな 1時間ぐらいか?」
『1時間も?!やだ恥ずかしい…』
「気持ち良さそうに眠っていたよ、体調はどうだ?」
『うん、ありがとう…それとお疲れ様』
「ああ、みなみさんもな」
柔らかい表情をする零は相変わらずどんな時も整っていて、そんな人に寝顔も寝起きも見られている事を思うと途端に恥ずかしくなる
まあ、それ以上の事もしてるけど…