第19章 悪夢からの解放
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「あの方の計画通り、万が一の時の最終手段を使う時が来たようです」
「老若認証は諦めるんですか?」
「どうやら使い物にならないシステムのようですから」
「分かりました」
漸く老若認証システムについて組織は諦めてくれたか。
あの少女とエンジニアも無事に救出されたみたいだし一安心と言ったところかな。
ウォッカがみなみさんの事について口を滑らせていなければ良いが
ジンがもし少しでもそれを耳にしたら、少し。いや、かなり厄介な事になる
今はそう願うしかない。
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「アニキ、ここにいたんですかい」
「なんだ」
「万が一のための最後の手を、使ってくれとのことですぜ」
「ああ……分かった」
「クソシステム諸共沈めてやるよ。黒鉄色の海底にな」
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「まだパシフィックブイに居るのか?」
「うん」
「何をやってる!すぐ逃げるんだ、もうすぐそこに」
「なんだって?!早く皆に知らせないと!」
「いや それはもう済んだ」
コナン君はまだそこに居るというのか
全く。危険だというのに君は…。
「繰り返す!民間人は至急退避!魚雷に狙われている可能性がある!」
「ここにいる人間をシステムごと葬るつもりか…?!」
「目暮!陣頭指揮を頼む」
「はい!」
「相手はたかが潜水艦一艇。装備の数が違う、デコイの準備だ!」
「また遠隔操作されている!」
「何!?」
「閉じた筈だろう」
「新たなバッグドア!グレースの奴!」
「いつの間に…!」
「撃てェ!」
「魚雷を探知!」
「デコイ発射!」
「デコイ発車了解!」
マズいぞ…
パシフィックブイの中は今パニックになっている
ピンガは俺のスマホを奪ったままだし、みなみさんの事についても疑っていやがる。
「デコイ?」
「魚雷を誘導する囮だ。それより早くそこから…」
「あっ ちょっと待って」
危険が迫っていると言うのに、そんな呑気にしている場合では無い
だけどこれは彼の経験から得た物でもあるのだろう。
この音はスピーカーフォンか?
一体誰と?