第19章 悪夢からの解放
気付けば眠っていたみたい。
どのくらい寝たのだろう
目が覚めても相変わらず見える景色は変わらなくて。
一体いつまで続くのか…
鬱々とした気持ちに呑まれていると、普段より足早に足音が近付いてきてドアの前で止まった。
また誰かが入ってくるのかと思うと、怯えながらベッドの隅に体を寄せる癖がついてしまった
「みなみさん」
何かをされるのではと目を瞑って顔を伏せていると
聞き慣れた、優しくて暖かい声が聞こえてきて。
『!れっ……!あ、むろさん…?』
口の前に人差し指を立てる仕草をしながらそっとドアを閉めて近付いてくる
零がこの潜水艦に居るとは思わなくて。
鬱々と凍りついた感情が途端に安心感で満たされ、溶かされていく感覚がある
「みなみさん、良いかい?今から僕とここから逃げる」
『えっ?でも』
「みなみさんを助けに来たんだ。もう次期ジンがやってくる、ジンはまだみなみさんの事を知らないから逃げるには今しかない」
『でも 他にも拐われてる人達が…』
「彼女達ならコナン君がどうにかしてくれるさ。ほら、立てるか?」
ベッドの隅から前まで移動して、零に手首の縄を解いて貰おうとすると
また誰かが近づく足音が聞こえてきて。
「おいバーボン、お前何やってんだ?」
足音の正体はウォッカで。ドアを空けられ、そう言われると一瞬零の手が止まる。
「この彼女はどうやら必要ないみたいですよ?あの方からの命令です」
「はあ?何の話だ、バーボン」
「どうやらあのシステムは欠陥があった様で、貴方も時期に分かりますよ」
「欠陥だと?それでその女をどうするつもりだ」
「勿論、彼女には永遠に眠りについてもらいますよ」
「ならここで殺せ」
「後始末が大変ですよ?壁に飛び散った血に染る肉片を掃除するのは」
「みなみさん、少し眠ってて」
緊張感の走る会話に挟まれた中、小さな声でそう言われ
あの時みたいに口にタオルを覆われて視界が真っ暗になった。
「まあいい。しっかり殺れよ」
「ええ、勿論です」