第19章 悪夢からの解放
ここに来てどのくらいが経っただろう。
時計が無いから時間の経過も分からないし仮に一日経っていたとしても
1秒すらが長く感じてしまってもう何日もここに居る気がする
水無さんはあれ以降来ないし、ドアが開くと恐らくコードネームも与えられていない末端の人間が監視で見に来るし…
足音が近付いてくる度に、開く度に、またピンガが来るのではという恐怖で体が震える。
両肩も腕も赤くなって直ぐには消えなそうな大きなアザが出来ていて。
このアザを見る度にあの時の事を思い出してしまいそうで…
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「蘭は本当に残るの?」
「うん…哀ちゃんもみなみさんも心配だし」
「だよね…」
「でも大丈夫、博士も残ってくれるし」
「すまんが子供達を頼んだわい」
「まあ ガキんちょ共の世話は私に任せといて!慣れたもんよ!」
「ありがとう 園子」
「じゃあなー!お土産いっぱい買ってきてくれよ〜!絶対だぞ〜!」
「ばいばーい!」
「またみんなで一緒に来ましょうね!」
園子と子供達だけでも無事に帰る事が出来て良かった。
だけど…どうしてみなみさんまであの人達に?
子供達も凄く心配してるから、哀ちゃんもみなみさんも無事で居て…
・
赤井さんに会いたい…
またあの時みたいに普通の生活がしたい。
留守番ばかりだってそれでも良い
そんな生活を失って初めてあの時も幸せだったと改めて思えてきて。
毎秒恐怖と不安に陥ってる中、ウォッカらしき人の声と女性の声が聞こえてきた。
拐われていたのは哀ちゃんの他にも居たみたいで、次第に女性の声が叫び声と変わり最後は泣き叫ぶ声に変わっていって。
何が起こっているのかも分からない中、絶望的な状況に取り残される
もう嫌…
こんな場所から逃げたいと思える所まで来たのに、また涙が流れてくる