第18章 悪夢
食事中、恒例の阿笠博士のクイズタイムが始まって
それを始めて体験できるのは凄く嬉しい…けど、博士のクイズが出てくるのって映画の時…
その瞬間しか見てなかったからかもしれないし、博士なら常にクイズを出しているのかもしれないけど
もし、もしそうだとしたら…きっと何かが起こってしまう。
途端に不安になってきた。
少しの不安を抱えたまま食事を終え、レストランを出ると下から腕を引かれて。
「みなみさん」
『どうしたの?』
「明日直ぐに皆と帰って!」
『直ぐに…?何かあったの?』
「良いから…そうして!」
と、コナン君はそのまま博士の腕を引いて外へ行ってしまった。
このタイミングでそんな事を言われると愈々、さっき感じたあの不安と嫌な予感が確実に変わってきて。
部屋に戻り、暗いままの部屋でスマホを開いてソファに座る。
とても静かで波音だけが聞こえてくる
ただ、この感情を赤井さんに話したら折角行かせてくれた赤井さんの優しさを無下にする感じがしてしまって。
だけど必ずしもその予感が当たる訳でもなくて。
少しづつでも冷静に捉えようと、大きく深呼吸をするとドアをノックされる
「哀ちゃん!」
「こんな暗い部屋で、一体何をしていたの?」
「それは…」
どうやらコナン君の眼鏡を掛けて部屋を尋ねてくれた哀ちゃんを入れて、電気をつける。
『それ似合ってるね』
「あぁこれね。なんかお守りだか何だかって言って渡されたわ、全く」
そう言う哀ちゃんの声色はとても優しくて、朗らかで、外した眼鏡を見つめる横顔はコナン君と本当に信頼し合っている事が伝わってきて…
大変な目に合っていても強く生きている二人を見たら、さっき感じた不安は気付けば消えていた。
「それじゃあ、あまり夜更かししすぎない様にね」
『うん!ありがとう哀ちゃん、おやすみ』
沖矢さんにメッセージを送り、車が停車する音を感じながらバルコニーに出て煙草に火を付ける。
吐き出した煙と共に、ぼんやりと車の方を見ると暗いせいかよく見えないけど体格の良い男性が降りてきて、その少し先にスラリとスタイルの良い男性がホテルに入っていった。
後から続く男性をよく見るとハットにサングラスを掛けていて、間違いなくその人はウォッカで。となるとさっきの人も組織の人間…
まずい、ウォッカと目が合ってしまった。