第17章 鯨
ホエールウォッチングも終わって港に戻ると、船は自分達が乗ってきた分しか無く、コナン君はまだ戻ってきてないみたい…
「鯨凄かったですね〜!」
『うん!迫力に圧倒されちゃったね』
「凄いのはまだまだよ〜!」
蘭ちゃんと鯨について盛り上がっていると、どこか得意気な園子ちゃんがやって来て。
「凄いって何がだよ園子姉ェちゃん!」
「まあ着いて来なさいよ〜」
ホテルに戻ると豪華な昼食が用意されていて、昼食後は八丈島内を回るツアーがあるみたい。
昼食を済ませ、八丈島を回るツアー用の車が来るまで海辺へ。
晴れた空の下で、波の音と心地良い風が吹いてきて額に吹き出る汗も引いていく。
海…赤井さんとも見たいなあ。
今何してるんだろう?海の写真と共にメッセージを送れば直ぐに既読のマークが付く。
『…もしもし』
画面がパッと着信画面に変わって。
「みなみさん、そちらはどうですか?」
『すっごく良い場所です!どこを見ても良い景色で、お料理も新鮮で美味しいし、鯨も大きくて凄かったです!』
「ええ。良く聞こえていましたよ、みなみさんの楽しむ声が聞けて何よりだ」
『なんか…すっかりそれを忘れてました…ちょっと恥ずかしいかも……』
「おや、忘れてはなりませんよ?それは私との約束でもあり、今私達を唯一繋げている物ですからね」
『気をつけます…!』
「そうして頂けると何よりです、早くみなみさんに会いたいです」
『私もです…でも、明日には会えるのであと少しです!』
「ええ、そうですね。何よりも気をつけて、楽しんでくださいね」
『はい!沖矢さんも頑張ってくださいね』
沖矢さんの状態でも、今こうして態々電話をかけてくれた事も
心では赤井さんとしっかり繋がれている気がして、それが何よりも嬉しかった。