第18章 悪夢
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このクソみてえに退屈な施設に入り込んでから早数年。
最近になりやっと面白ぇモンを見つけた
ある日から突然、日本の防犯カメラだけに映り出した女が居る
世界中のカメラを遡って確認しても、このシステムに掛けても何処にも映ってねえ所かガキん頃も存在しねえ
こいつの正体はただの犯罪者か、サツか。
何方にせよ、今この島には死んだとされる工藤新一もシェリーも居るじゃねえか。更にこの女を拐えばデケェネタになる
これでアイツを蹴り落とせるじゃねえか…!
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「そいつはなんの冗談だ…ウォッカ」
「ですから…」
「シェリーはベルツリー急行で死んだはずだろ」
「だから子供のナリになって生き延びてたんですよ!」
「子供…?」
「どんなカラクリかは分かりやせんが、でも奴は科学者だし…何なら画像を送りやしょうか?」
「いや、直接見る。それ迄にそのガキを拉致しておけ」
「え?でも何処に居るか分かりやせんぜ?」
「そういう奴を見つけるのに相応しいシステムを手に入れたばかりだろ」
「へっ! 流石はジンの兄貴だ」
「拐うつもり?」
「ジンの兄貴に言われたんだ。やらない訳にはいかねえ」
「悪いけど私はお断り」
「はあ?!」
「過去の防犯カメラに写った私達の痕跡を消す。それがボスの命令よ」
「同感ですね。計画に無い行動は失敗を招きます」
「私も遠慮するわ。そもそもシェリーが子供になっているなんて考えられないわ。それに、この怪我だし」
「フン 最初からお前らと組むつもりはねえよ。これはピンガにやらせる」
「あのピンガが貴方の言う事を素直に聞くかしら?」
「ピンガは他人を蹴り落としてでも這い上がりたい」
「ああ、んな事分かってるさ。……ん?」
「どうかしたの?」
「今ピンガからメールが届いた。内容はこの女も拐えだってよ」