第17章 鯨
“沖矢さん、無事に八丈島に着きました!”
あの後、出発直前の沖矢さんとのやり取りについて園子ちゃんから質問攻めになったり、蘭ちゃんの新一君との話や園子ちゃんと京極さんの話等で盛り上がりあっという間に八丈島へ。
「わ〜良い景色〜!」
「でしょでしょ〜!パパのホテルからも良い景色が見れるのよ〜ん!」
初めて訪れる八丈島は、とても長閑で緑が多く
大きな火山と山が並んで見え、海は透き通る程綺麗で天気にも恵まれた為
絶好のお出かけ日和となっている!
荷物を持ってホテルにチェックインする
部屋の窓からも鮮やかな青をした海が波打つ音も聞こえてきて。
留守番ばかりしていた日々から開放された気がして凄く嬉しくもある
そろそろホエールウォッチングの時間という事で、沖矢さんに連絡をしてバッグを持って外へ
・
「そろそろ八丈島に着いた頃だと思ってね」
「うん」
「君はドイツのフランクフルトに“ユーロポール防犯カメラネットワークセンター”があるのを知っているかな?」
「勿論、それがどうかした?」
「そこに何者かが侵入してね。その侵入者を目撃したユーロポールの職員がジンに殺された」
「ジンに?!」
「ああ。奴等の組織に潜入捜査しているキールからの情報だ。髪をコーンロウに編み上げた奴でコードネームは“ピンガ”。ラムに気に入られていると聞いた事がある」
ピンガ…そのコードネームは聞いた事がない
新たな有力情報って事か
「どうしてそれをボクに?」
「ボウヤだからさ」
「え?」
「パシフィックブイに接続されるネットワークの一つには、フランクフルトのデータセンターが含まれている。ボウヤに話しておいた方が良いと思ってね」
“ピンガ” 確か、サトウキビを原料とするブラジルの蒸留酒
そしてピンガはラムと同じ原料の酒…
嫌な予感がする…