第15章 変化
日が暮れて、哀ちゃんとのお茶も終わり帰宅。
外が暗くなれば電気をつけて、カーテンを閉め、エプロンを着けてキッチンに立つこの動作も当たり前になっていた。
普通に考えれば、現実の世界に居た時からどれも当たり前な事であって
ただ違うのは自分が居る場所と赤井さん含め皆の存在や働いていないという事。
この広い家で静かな空間が少し苦手でもある為、テレビをつけ、音楽を流しながら冷蔵庫を開けて夕飯の支度を始める
気付けば料理もしっかり作れる様になった。
勿論赤井さんの分も作り置きはしている
あの頃と違って手際も良くなり、赤井さんに見て貰いたかったりもする
料理も終盤に向かい、一人分の皿を取り出した所に玄関が開く音が。
手に持っていたおたまを直ぐに置いて玄関へ走っていくと、沖矢昴の姿だけど赤井さんが居て。
『赤井さん!!』
「みなみ。すまない、遅くなった」
『ううん、全然!待ってました』
「ああ」
玄関先で直ぐに赤井さんの腕に包まれて。
声は沖矢さんのままだけど、赤井さんとしての思いも熱も伝わってくる。
そのままテーブルに着き、丁度出来上がった夕飯を食べる。
『私凄く料理作れるようになりましたよ』
「そうみたいだな。いつもすまんな、留守ばかりで」
『良いんです、今ちょうど忙しい時期なんですよね?』
「ああ。奴らが大きく動きだしてな」
『気をつけてくださいね…いつも赤井さんが帰らなかったらどうしようって思ってます…』
「勿論だ、今死ぬ訳にはいかんからな」
なんて言葉をあっさり言う赤井さんの生きる世界は、遥かに違うのだと感じる。
夕飯タイムも終わり、入浴も済ましてまたリビングへ。
「みなみ、行きたい場所は決まったか?」
そういえば、そんな事前にも言ってたな…
忘れてはいなかったけど、赤井さんの方は忘れてるのかと思って考えていなかった…