第14章 日常
『赤井さんの登場場面を何度も見返したり、泣いたり…グッズだって沢山…だからこそあの出来事がショックすぎて…』
「ホォ…」
『だけどその後に出てきた沖矢昴もかっこいいなって思ったり…そしたらまさかの正体が赤井さんだった訳で…あの後もちゃんと見ていればきっとかっこいい場面を沢山見れていた筈なんですよね…』
「そいつは聞けて何よりだ。どうだ、実際の俺は」
『もう…とっっても最高です!何なら見ていた時よりももっと素敵です』
顔を紅く染めながら熱弁するみなみの姿は何とも愛らしい。
「そうか。前にも言ったが、俺の日常に面白味は無いぞ」
『赤井さんと一緒に居れれば私はそれだけで十分ですよ、本当に。生きててくれて嬉しい』
本当なら今すぐにでもこいつを押し倒したい所だが…
今日の所は我慢してやろう。
「そう簡単に死ぬ訳にはいかないからな。それに、今の俺にはお前が居る」
『赤井さん…』
あんなに赤井さんへの思いを熱弁して、その後にこんな事を言って貰えて…
それが返って更に恥ずかしくなってきて。
「もう酔っているのか?」
『え?いえいえ、全然!まだ二杯目ですよ?まだまだお付き合いします』
そう言うとフッと笑って何処か御満悦そうで。
その後もゆっくりと流れる時間と共にバーボンを嗜んだ。
そして赤井さんの寝室に行き、二人でベッドに入る。
照明の明るさを少し下げ、赤井さんの腕の中にすっぽりと収まって
後ろ髪を優しく撫でてくれる。
『ん〜本当に夢みたいに幸せで嬉しいです』
「そいつは俺もだ、みなみ。これからも頼むぞ」
『勿論、こちらこそ』
昼はあんな事があったと言うのに、それからは赤井さんとほぼずっとくっ付いたままの時間を過ごせて。
幸せすぎてそれが逆に怖くもなる。
心地良さが睡魔を誘ってきて…
「気にするな、眠れ」
『赤井さんもゆっくり眠ってくださいね、おやすみなさい』
「ああ、おやすみ」
額にチュッとキスを落としてくれて、幸せな気持ちのまま眠りについた。