第14章 日常
お風呂を出て、ひと通り終わってリビングへ。
冷蔵庫の前で水分補給すると戸棚の上に置いてあるバーボンに目が行く。
「呑むか?」
『え?良いんですか?』
「ああ。だが無理はするなよ」
『はい!』
氷を入れたロックグラスにバーボンを注ぎソファへ
酒は普段から好きな訳では無いけど、気分がいい時は飲みたくなるもので
弱くは無いからお酒が強い赤井さんとも飲めるはず。
赤井さんがバーボンを飲んでいるって何だか、零の事を思い出してしまう。
零とあんな形で別れるのは今回が二回目でもあって、そして今日は赤井さんにも零にも恥ずかしい所を見せてしまったし…
零は私が赤井さんと付き合っていても、それでもあんなに良くしてくれるのは……
自惚れたくは無いけれど、私には赤井さんが居るし零の気持ちに応える事は出来ない。そんなの分かっているのに、いざ零に会うと固く決心した気持ちが揺らいでしまう。
口の中にふわりと甘みと香ばしさが広がり、ゆっくりとカッと熱くなり
バーボンが体内へ回っていくと共に零の事を思い出す。
隣にはロックグラスを口に運ぶ姿がとても絵になっている赤井さんが居て、その様子にもつい見蕩れていると目が合う。
「どうかしたか?」
『いや、なんというか凄く似合っているなって…』
「そうか?まあ、こうしてお前と呑める時が来るとはな」
『確かにそうですね〜赤井さんとお酒まで呑めるなんて夢みたいです』
「みなみは一体どのくらい俺を好きだったんだ?」
そんな事を突然サラッと言われて途端に顔が熱くなる感覚に陥る。
『それはもう〜このくらい?あ、これが地球だとして…』
それは素直に気になった事だから聞いてみたが…
両手を体の幅程に広げてから右人差し指で刺し、俺への気持ちを示すみなみ。
もう酔っ払っているのか?