第13章 過去には
スーパーから来た道で帰るとして考えられるのはこの通りだろうか。
昼間という事もあって人通りも多い。
だがそんな事は組織からしたら関係無い
奴らは平気でそういう事をする。
大通りの横に路地があるが…
まさかな。
近くに停車させ路地へ向かう。
・
こんな姿…
赤井さんにだって知られたくないというのに…
人が通る事なんて滅多に無いと思っていた薄暗い路地で
こっちへ走ってくる足音が聞こえてきた。
こんな場所でしゃがみ込んで泣いているなんてヤバい人だと思われそうで。
そうだ、煙草を取り出して一服している様に見せよう。
バッグに入ってる煙草を取り出そうと手を入れると
走っていた足音は徐々に歩行音に変わって。
突然、気配を感じさせずやって来ては煙草を取り出した手を掴まれる。
「みなみさん」
顔を上げると、眉を下げ心配そうな顔でこっちを見る零が居て…
しゃがみ込み、ポケットから出されたハンカチを受け取る。
「一体こんな所で何があったんだ?」
泣いている所を見られたくなくて伏せ気味に顔を隠していると、覗き込むようにそう聞かれて。
上手く会話する事が出来なければ、さっきの出来事を話す事も出来ず
首を横に振る事しか出来なくて。
「とにかく、こんな暗い場所で一人は危険だ。立てるか?」
右手を掴まれたまま、左肩に腕を回される。
「すまんがその手を離してくれないか?」