第13章 過去には
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カーテン越しに射し込む強い日差しにより目を覚ます。
…少々寝すぎてしまったみたいだな。
女のベッドで寝るのは何時ぶりだろうか
みなみの匂いに包まれ、つい深い眠りについてしまった。
こんなに心身が休まった事は久しく無かったな。
女の前でここまで気を許したのもみなみが初めてだ。
整然と外に干された洗濯物達も綺麗になっているフローリングも
本当に全ての家事をしてくれた様だ。
みなみには礼を言わなければだな
にしても静かだが…
疲れて眠っているのか?
「みなみ?」
リビングに行くとみなみの姿が無い。
俺の部屋か?
急いで部屋に行っても姿が無い。
メッセージも入っていなく、みなみの靴も見当たらない。
部屋へ行くよりも靴を確認する方が確実なのだが、そんな判断すらも誤ってしまった。
何処に居るんだ?ポアロか?
みなみのスマホからはGPSを抜いた為、直ぐに探す事が出来ない。
ポアロに居るだけなら安心だが、あの話をした後に行くとは思えない
買い物か?もしそうだとすれば、行くのは米花町スーパーの一つしかない。
俺が眠りについて直ぐにみなみは家事を始めた筈だ。
冷蔵庫に入っている食材は少ない為、スーパーへ行ったのは確実だろう。
だが、逆算しても時間が合わない。
例え歩きだとしても二時間以上もかかる場所では無いぞ。
「もしもし。お疲れ様です赤井さん、どうかされましたか?」
「頼み事があるんだが、ポアロに今から送る写真の女が居るから見てきて貰えんか?」
「分かりました…えっと、この女性は一体?」
「それについては後で話す。すまんな頼んだぞ、キャメル」
こんなに焦る事は何時ぶりだろうか?
みなみの事になると平常心では居られなくなる。
沖矢になる時間なんて無い為、キャップを深く被りサングラスを掛け
急いで駐車場へ向かい車に乗り込む。
大通りから見渡す事しか出来ないが歩きよりは良いだろう。
何度掛けても電話にも出ない。
一体何をしているんだ?
考えたくも無いが、もし組織に見つかったとしたら…
「もしもし、そちらの女性はポアロにもいらっしゃらなかったです」
「そうか。オフなのに態々すまんかったな、礼を言うよ」
「あの…その女性は一体どちらさ」
何処にいるんだ