第13章 過去には
まずは…朝ご飯を作ろう
着替えてリビングへ行くと、もう全然朝では無い事を知らされる。
嘘、かなり寝てたんだ…
赤井さんは何か食べたかな?
起きた時用に何か作っておきたい所だけど…
冷蔵庫を見るとまともな料理を作れそうな程の食材が残っていない。
飲み物と残りが少ない卵と野菜とジャム…
後は手軽に食べれる物があるけどこれでは駄目だ
赤井さんのあの感じからすると、きっと数時間は眠りそうだから
家事をした後に買い物へ行ってからでも遅くはなさそう。
洗濯機を回している間に部屋を掃除し、洗濯物を干す。
今まで何となくで過ごしてきたけれど…これを赤井さんにやって貰ってたのは本当に申し訳ない…
住ませて貰っているのだから、これからはもっとちゃんとやらないと。
洗濯物も終われば時刻は丁度12時。
動くとお腹も空いてきて、手っ取り早く食べれそうなシリアルがあるけど
牛乳も無いし…
赤井さんは本当にちゃんと食べてるのかな
こっそり部屋を覗くと赤井さんは熟睡しているみたいだし、態々声を掛ける訳にも起こす訳にもいかなくて。
起こさない様にそっとバッグを取って買い物に行く事にした。
しっかり戸締りをしてスーパーへ。
歩きだから、買えるものは少し限られてくるけど…
とりあえず必要な食材をカートに入れて行く。
あの赤井さんも一人でこうして、スーパーでじっくりと商品を選んでいる事を想像すると何だか少し可笑しかったり不思議な感じになる
沖矢昴になる前はきっとこういう事はしなかったのだろう…
あの時の赤井さんが今は沖矢昴として
仮の姿で生活しながら料理を振舞ったり、子供達と接するだなんて一体誰が予想出来ただろうか…
赤井さんの日常は少し分かってきたけれど、何も無い日は家の中でずっと仕事なのかな。
何か趣味とか好きなものはあるのかな?
思い返せば案外私は赤井さんについて知らない事が多いのだと気付く。