第13章 過去には
そして工藤邸のある通りに入り、家の傍に停車する。
『零、今日は遅くまでありがとう』
「礼を言うのは僕の方だ。突然の誘いだったのにありがとう」
『こちらこそ!この後は仕事?』
「そうだ。今は忙しくてね」
『そうなんだ…気をつけて、頑張ってね』
「勿論だよ。みなみさんもしっかり戸締りしてちゃんと睡眠を取るんだよ」
『はーい!零もね』
手を繋いだまま、軽く触れるようなキスをして
唇が離れ、目が合うとそっと微笑みあって。
『それじゃあ、またね』
「また」
零の車を降りた。
鍵を開け、振り返ると最後まで見送ってくれている零に手を振れば
振り返してくれて。
家の中へ入った
真っ暗な玄関を通り部屋へ。
バッグを置いてシャワーを浴びる準備をする
そういえば零からのスマホの事聞くの忘れちゃったな…
やっぱり連絡が来る方なのは、零からのスマホの方だよね。
赤井さんにバレなければ良いけど…
着替えを持って風呂場へ行き、メイクを落としてシャワーへ
ここに戻ると途端に頭の中は赤井さんになり始めて。
赤井さんは今何しているんだろう…
ボーっと考えながらシャワーを終えて、寝る準備を進めた。
部屋に戻り開けた窓から空を見ながら一人、煙草を蒸かす。
暖かくなってきた日独特の夜の匂いと、煙草の匂いが混ざった中で
さっきの出来事を振り返ったり。
こんな中でも赤井さんも零も人々の為に仕事をしているって凄いな…
私もそろそろ働かないと…いけないけれど、何をしようかな
時間がある時に赤井さんに相談してみよう
煙草の火を消して、零にお礼のメッセージを送って眠りについた。