第12章 不純に染まる夜
『わ、私には…沖矢さんが…』
思い切って言おうとした所に自分のスマホが着信音が鳴り始めて。
こんなタイミングで鳴るのも、救われたと言えばそうかもしれないけれど…
『…ごめん、出ないと』
「出なくていい」
スマホを取りに体を起こそうとしたら零に組み敷かれて。
『…だけど』
「今だけでも僕を見てくれるんじゃなかったのか?」
『そうだけど…』
「電話の相手なら分かっている。だからこそ言っているんだ」
『零…』
唇がそっと重なって、また直ぐに舌が捩じ込まれて絡み合うと
手が秘部へ伸びていってクチュクチュと音を立てながら触られて。
零の指が触れれば、今すぐに零が欲しくって
『零…が欲しい…』
「ああ。僕もだ」
両足を上げられて、また中へ零が挿ってきて…
『ひゃあぁっ…!あぁっっ…!!あんっ、ぁっ…!』
両足を片腕で抑えられて、零の肩に踵が軽く乗って。
当たりやすい体位だからこそ他の事なんて考えられなくて…
『あぁんっっ!ぁっ…!あっ、あぁっ…き、もち…ぃっ…!』
「今…ぐらいはっ…沖矢昴なんて、忘れて…ッ」
沖矢さんの名前が今出てくるとは思わなくてナカがキュウッと締まって。
『あぁっん…!も、ちろ…ん、っっ…!』
「他のことは…忘れて…ッ」
『うっっ…ぁんっ、んっ…わ、かっ…てるっ…』
激しく、そして強烈に来る快感から、目尻からは暖かい雫が伝って
上から顔を見られているのも恥ずかしくって。
抽挿が繰り返される度に今にでも果てそうで。
『ああっ…んっっ、ぁっ…!!れ、いっっ…!も、だめっ、イッ…くっ!』
「僕もだ…ッ」
また同時に二人果てて、お腹の上に白濁が放たれる。
呼吸を整えながら軽く唇を重ねる。
汗ばんだ額を優しく撫でてくれて、微笑む零の姿はさっきの意地悪さは無いけれど、どこか儚げでもあって。
「どうして、今日会う前に泣いていたんだ?」
『あー、あれは…特に理由が無くて』
「本当か?」
『うん。訳も分からなく涙が流れて…それで零からの電話で、気付いたら涙なんて引いてたよ』
全く。自分の彼女が泣いているというのにヤツは…
僕の国で好き勝手動きやがって。
きっとみなみさんはこの事を言う筈が無いし、ヤツの前で自然に振る舞うのだろう