第2章 はじまり
『は、はい。ご馳走様でした、安室さん』
「それでは、失礼しました」
沖矢さんに腰を抱かれたままポアロを出ると
「良いと言うまで、何も喋らないでくださいね?」
と言われて無言のまま歩いてくと
少し離れた所に赤くてレトロな可愛らしい車が止めてあった。
沖矢昴ってこういう車に乗ってたんだ…
大学院生だったよね?
助手席のドアを開けられ乗り込むと
「少しジッとしていてくださいね」
そう言われて首に腕を回される
え、ハ、ハグ?
では無かったみたい。
直ぐに元に戻って指で小さな物を潰す沖矢さん。
盗聴器だろう。
いつの間に付けていたんだろう?
なんてまるで他人事のように勝手に関心してたら沖矢さんの車が動き出した。
「それで?何故貴女は私の名前をご存知なんですか?」
やっぱり来るよね。
なんて答えれば…
本当の事を話したら異常者だって思われる?けど…途中までだとしても私には彼らの過去や今までの出来事だって分かる。
だったら…
『あの、ちゃんとお話するので…けど、あまり理解し難いかもしれないです』