第2章 はじまり
「それが一番です!そういえば、まだ貴女の名前を伺ってなかったですよね?僕は安室透です。」
もう…いっか。この際だし自分の名前言っちゃお
別に犯罪起こしてる訳じゃないんだし連行とかされないもんね?
『安室透さん、よろしくお願いします。私は小田島みなみと言います。改めて、よろしくお願いします』
勿論知らないフリをしないとね
「みなみさんと言うんですね?とても素敵な名前です。こちらこそよろしくお願いします」
名前を言ったら一瞬だけ表情が崩れたような…気の所為?
『はい、安室さん』
「因みに先程 みなみさんが見ていた毛利探偵事務所でも、毛利さんの弟子として探偵をしているんです。もしかしたらみなみさんは何かお困りですか?僕で良ければ貴女の力になるので連絡先の交換、良いですか?」
「その必要はありません」
!嘘…今圧倒的に安室透に監視される様になるんだなって思ってたら
沖矢昴…?
画面の向こうでしか見る事のできなくて好きだった彼が…
目の前で…
それと同時に安室さんのさっきまでの余裕そうな表情が一転して怒りのような表情になってる。
この2人、何かあったっけ?
「貴方は…何故ここに居るんです?僕は今彼女と話しているので貴方は出ていって貰えませんかね、僕の店から」
「すみません、彼女は私の連れでして…どうやら財布を忘れた様なので代わりに私が」
そう言いながら私の腕を掴む沖矢さん。
耳元で「私の言う通りに」と言われ従わざる負えない状況に。
立ち上がって
『そ、そうなんです安室さん。私忘れてきちゃって…それで沖矢さんに、届…けて…貰って』
マズい。私何やってんの?知ってちゃおかしいのに今サラッと
この人の名前を…
名前を呼んだ瞬間私の腕を掴む沖矢さんの手が少し強くなった。
今度はそのまま腰を抱きせられ
「えぇ、そういう事なので。我々はこの辺で失礼しますね」
そう言って料金を払ってくれた沖矢さん。
御会計の時もやけに安室さんは沖矢昴に対して敵対と言うか睨んでるというか、お互いギスギスしているのは伝わってきた。
「それではみなみさん、また」
と沖矢さんには聞こえないように耳元でそう言ってきた安室さん。
完全に怪しまれてる対象に入っちゃったな…