第10章 深い繋がり
コナン君にメッセージを送ってから着替えてリビングへ。
あの工藤夫妻に会えるというなら、と思い最初に沖矢さんにプレゼントされたワンピースを着て、髪の毛を緩めに巻いた。
またまた朝食を作ってくれた赤井さんが先に席に着いていた。
『すみません…今日もありがとうございます』
「謝る事は無い、みなみは毎回食器を洗ってくれるだろ?互いにやれる事をやれば良いんだ」
本当にどこまでも出来すぎた赤井さんと自分ではあまりにも釣り合わないのでは無いかと不安になる事も度々。
『ありがとうございます、私もやれる時はやりますね!』
「頼んだぞ。それにしても今日は随分と粧し込んでいるな」
『あの工藤夫妻に会えると思うと、つい…。変ですかね?』
「いや、良く似合っているぞ。気に入って貰えてる様で何よりだ」
『はい!赤井さんが選んでくれた物なので凄く大事ですよ』
そう言うと分かりやすいぐらいに口の端を軽く上げながら珈琲を飲む姿は
とても様になっていてかっこいい…
「それを買ったのは沖矢だけどな」
『あぁ…そうでしたね』
「また時間がある時に買い物に行くか」
『はい!是非』
「そうだな…次はお前に似合う下着だな」
『あー…それは…』
「何か不満でもあるのか?」
『いえ…』
真面目な顔をしてそんな事を言うから可笑しくて、赤井さんも少し笑っているし…
そうして穏やかな朝食の時間を過ごし終えた。
食器を洗いながらソファでタブレットを操作している赤井さんを見ると
急に今まで見てきた赤井さんの話を思い出して。
中でも、特に赤と黒のクラッシュの殉職編がオープニングもエンディングも鮮明に蘇ると
途端に今目の前に居て、そしてお互いの想いが通じ合っていると言う事も
まるで現実味を帯びていなくて、どこかふわふわとした不思議な感覚に陥る
あんなに大変な事があったのに、無事に生還して
更に今ではこうして自分の事を受け入れてくれて、愛してくれていて…