第2章 はじまり
「もしもし赤井さん、さっきの女の人について何か分かった?!」
「焦るなボウヤ、とりあえずこの彼女が組織の人間である可能性は低い」
「そっか…!良かった」
「だが、いくら調べても戸籍も何も出てこないようだ」
「えっ それって…」
「ああ、まるで存在していない何かだ」
「諜報機関の人とか?」
「どうだかな。脳もそれ以外への外傷も無い、まず記憶喪失では無いな。まあ、後はFBIに任せてくれ。」
「うん、何か進展あったら教えてね!」
「ああ。」
この女は何者だ?
ジェームズから送られてきたのは戸籍も全てが空白。
つまり名前すらも
この女が目を覚まさない限り知りようがない。
だが自然と彼女は悪の人間では無いという事だけは直感が教えてくれた。
まるで安心しきっているかの様に規則正しい寝息を立てて眠っている。
何があったんだ?
病室にずっと居る訳にも行かないからFBIのもと、彼女が起きてからの対応もホテルも全て後は任せて病院を後にした。
彼女の洋服には小さなGPSと盗聴器を付けておいたから監視を進めよう。
工藤邸に帰宅すると病院から彼女が目覚めてホテルに向かうと連絡が来た
「随分と早かったな」
果たして彼女はどんな行動をとるのか、少々楽しみでもある。
・
午前10時半
彼女の服に付けておいたGPSがようやく動き出した
このスピードは徒歩で移動だろう。一体何処へ行くんだ?
誰かと待ち合わせか?
時々止まったりまた歩き出したり、休憩しながらどこかへ向かっているというのか。
盗聴器からは会話する声は聞こえず時々独り言の様なものは聞こえる。
時々驚いたり喜んだり
彼女は何なんだ?
謎の生物を監視しているみたいで段々可笑しくなってきたが、徐々に方向がこちらに向いて来ていた。
このまま進んでいけば毛利探偵事務所に辿り着く事になる。
彼女はそこへ向かっているのか?
だが一階のポアロには降谷君が居る。
降谷君に彼女が目を付けたとしたら…少々厄介な事になりそうだ。
それを阻止する為に急いでそこへ向かった。