第8章 小さな探偵さん達
工藤邸に到着して、買った食材達を袋から出して冷蔵庫に閉まっていく。
ピッと機械音が聞こえれば見た目以外はまた赤井さんに戻っていて。
「少々休憩をするか」
『そうですね!珈琲淹れるので赤井さんは休んでてくださいね』
「すまんな、頼んだぞ」
赤井さんにはアイスコーヒーを、私はアイスティーを入れたグラスをお盆に乗せて赤井さんの居るソファまで運ぶ。
『お待たせしました、どうぞ』
赤井さんは何やらタブレットの画面に夢中な様。
『大丈夫ですか?』
「ああ、少々厄介でもあるがな」
きっとFBI関連の事なのだろう、それ以上聞くことはしなかった。
開けた窓から入ってくる風により、ふんわりと捲れ上がったカーテンから覗く午後の陽射しは、少しずつ夏に向けて変わっていっているのを感じる。
少し気温が高い日に心地好い風に吹かれながら、ひんやりと冷たいアイスティーを一口含めば、それだけでどこか幸せな気持ちにもなれた。
それはきっと横に赤井さんも居るからだろう。
どこかからか聞こえてくる子供の楽しそうな声も飛行機の音も車の音も
非日常のようなこの現実で感じる事が出来ると安心する
子供と言えば...そういえばお隣の阿笠博士や、哀ちゃんも探偵団のみんなにもまだ会った事が無いな...
長い脚を組んでタブレットの画面を見ながら少しばかりか眉を顰めている赤井さん。
「ん どうかしたか?」
『あ、いえ』
「すまんな、あと少しで終わる。それまでテレビでも見ていたらどうだ」
『そうします』
電源ボタンを押せば放送されているのはクイズ番組。
クイズ番組は好きでも無ければ嫌いでもないけど、この世界のクイズ番組を見てみよう。
芸能人が横に四人並んで早押しクイズをやっているみたい。
頭の中で考えてる間に、どれもほぼ連続でこの眼鏡を掛けた着物姿の男性が正解している。
あれは...寝癖?
「流石だな」
『えっ?』
タブレットをテーブルに置いて、そう言う赤井さんはどこか誇らしそう
「見ろ、俺の弟だ」
『えっ?!赤井さんって弟さんも居たんですか?!』
「そうだ。知っているかとばかり思っていたぞ」
『知りませんでした...』