第7章 シルバーブレット
「ホォ...あのポアロの彼にも、助けられたのですね」
『え、ええ...まあ、色々と...』
「そうですか。ならば、彼にも今度是非とも礼を言いに行かなくてはなりませんね」
『そう、ですね...』
それは冗談なのか、本当なのか...
零が沖矢さんについて知っていても気分を悪くさせるのは確実だし
それは遠ざけたいかも。
相変わらず変化の少ない表情のままハンドルを握る姿は少し怖かったりもする。
「今日は久々に、室内でゆっくりと過ごすのは如何でしょう?」
『それも良いですね!』
「ええ、先ずは買い出しに行きましょうか」
という事で少し大きめのスーパーへ来た。
スムーズにカゴをカートに乗せてそれを引く姿はまた新鮮にも感じる
こんなにスタイルが良くてかっこいい人がカートを引いて、食材を手に取る姿は結構レアかもしれない...
何気ない事でも見蕩れてしまう
「みなみさんは料理等はされていたんですか?」
『えっ あぁ...まあ、そこそこって感じです...』
「へぇ、それは楽しみだ。是非とも、お手並みを拝見させて貰いたい所ですね」
『沖矢さんと一緒なら...大丈夫かも...』
あの頃は作る時もあったけど、偏食寄りなのもあって
まだそんなに料理の出来る様な人間では無い...
沖矢さんに引かれなければ良いけど...
沖矢さんとの買い物の時間は、さっき感じたちょっとした恐怖心なんてものはとっくに消えていた。
カゴの中はかなりいっぱいに。
沖矢さんと並んで袋詰めするのも小さな幸せを感じる。
大人しそうな見た目から重い袋も簡単に駐車場まで持ってくれるギャップと言うのも堪らない...
つい沖矢さんとのこの間の事を思い出してしまったり...