第7章 シルバーブレット
顔を洗おうと下へ降りて洗面所に向かうと通路に灯りが漏れている為、そこに赤井さんが居るのだと直ぐに分かった
『おはようございます』
「随分と早く起きれたみたいだな、昨夜は寝れたのか?」
『はい!ぐっすり眠れましたよ』
「それは何よりだ」
どうやら赤井さんは今、沖矢昴になる途中だった
こういう感じにマスクを付けているんだ...とつい魅入ってしまう
用意されていた歯ブラシを受け取って、準備中の赤井さんの隣で歯を磨く。
朝目覚めて赤井さんが居るって幸せだ...
歯磨きが終わる頃には赤井さんも変声期を首に付けていて
すっかり沖矢昴に変わっていた。
『わ、凄いですね 沖矢さんだ...』
「ええ、みなみさん」
ピッとチョーカーを押して名前を呼ぶ姿からはとても赤井さんを感じなくて別人と接してるような不思議な感覚で、つい顔が綻びそうになる
「何をニヤついているんだ。ほら、朝飯を作ってある 行くぞ」
あれ、またチョーカーを押して赤井さんに戻った。
昨日もそうだったけど、時々こうして変声期で遊ぶような赤井さんは凄く可愛らしくて可笑しい
って
『赤井さん、料理出来るんですか?!』
「ああ、知らなかったのか?」
『知らなかったです...』
リビングに着くとテーブルには
プレートの上にスクランブルエッグ、カリカリベーコンにトマトとバタートーストが用意されていた。
『美味しそ〜!』
「沖矢になってから料理をする機会が増えたからな、お前も気に入るはずだ」
少し得意げに話す赤井さんはまた可愛らしい。
『赤井さんの手料理が食べれる時が来るなんて思いませんでした...』
「それも良いが、外では絶対その名を出すなよ?」
『勿論です...』
沖矢昴の状態で赤井さんの声と口調はまた何だか凄く...良い。
今日やる事を話しながら赤井さんお手製の美味しい朝食を食べ終えた
勿論洗い物は私が。