第7章 シルバーブレット
こいつの表情は読めそうで読めんな。
悦んでいるのか否や。少々予想に反したが。
今直ぐにでは無くとは言ったものだが、例え嫌がろうが何があっても此処に置くつもりだったからな。
結果、承諾してくれた事には良しとしよう。
赤井さんはあの様に言ってくれたけれど、多分今直ぐに工藤邸に来いって意味だと解った。
ただ...あの赤井さんと共同生活って...
こんな事考えた事も、事も...昔は妄想したりはあったけど
それがまさか本当になるとは...
この感情は緊張と、ワクワクと...
そう考えると、さっきのあの気持ちはやっぱり一時的なものだったのだと
そして案外自分は単純なんだと改めて知る。
「来い、部屋はこっちだ」
畳まれた下着と洋服(少し恥ずかしい...)とバッグを持って
二階の部屋へ案内される。
工藤邸って作品の中に出てくる事は多々あったけど
こうやって足を踏み入れて、見るのは初めてだったから少し興奮するかも...
「そうだな、此処にすると良い」
ドアが開けられ中へ入ると流石は工藤邸と言わんばかりに広い。
使われていない部屋らしくて、設置されているセミダブルサイズのベッドとミニソファとテーブル、テレビ達が少し殺風景な配置の仕方をしていた。
「位置等も好きに動かして良いと言っていたぞ」
『そう...なんですね...けど、なんだか申し訳なかったりも...』
「これから暫くは住むと言うのにか?まあ良い、細かい事は全て後日だ」
『そ、そうですね... ありがとうございます』
「日付も変わっている事だ、今日の所はもう寝るといい」
『はい、おやすみなさい』
「ああ、また」
赤井さんとこんな事を言い合える日が来るとは...
何だか嬉しくもあって、顔が綻ばないよう我慢しながら部屋を出る赤井さんを見てしまう
「どうした、一人では寝れないのか?」
『えっ?あ、いえ おやすみなさい』
「...そうか、おやすみ」