第16章 地獄の合宿
玲「あ、あの感想貰っていいですか?」
・・・全員固まった!!
予想外の反応に私は少し戸惑った。
殆ど前の技を改良しただけだったので「なるほど!」的な感じで終わると思っていた。
固まる皆の中で1番最初に正気を取り戻したのは監督だった。
リ「玲ちゃん、それって弱点が無くなったってことでいいのね?」
・・あの技で弱点無しだとしたら凄過ぎ
玲「んー、弱点ですか?強いて言えば発動まで時間がかかります。それにこの技を使った後の体力消費が著しいです。
ボールも分身させるために私が何をしたか当てれますか?」
私は監督にそう問いかけた。
リ「そうね…、ドリブルのスピードを上げた?」
・・でも、こんな理由じゃないと思うわ
玲「確かにそれもしました。でも、それは飽くまでも基礎です。私が使ったのは水蒸気を使った蜃気楼です。」
そう。この技の完成の鍵は水蒸気。
原理としては身体を熱くして大量の汗による水蒸気を全身から発散させる。これが私を包んだ薄い靄の正体だ。
その状態で窓を背にして立てば、私のシルエットが太陽の光により照らされ、水蒸気の膜をスクリーンにして、映し出されるという仕組みだ。
この状態でスピードの緩急、そしてフェイントをすれば瞬間的にだが人数まで倍に増やすことができたのだ。
私は身振りをつけながら先輩達に説明した。