第2章 旅路
「そういえば、あのロイヤル?は君が所有してるの?」
『あぁ、ロイファの事ですか?ふふ、これは秘密ですけど、私は妖精を使役してませんよ。片羽は妖精狩人対策で隠していますが、両方の羽がきちんとあの背中に生えています』
「へぇ〜珍しいね〜。じゃああのロイヤルは自分の意思で君と一緒にいるんだぁ〜」
驚きながらそう答えていた。私はあまり酷いことはしたくないから、妖精の羽は奪わない。自分がそうされたら嫌だから。妖精にだって痛覚があるし、私だって心臓をギュッと一握りされたら死んでしまうだろう。そういうことを平気でやりたくないのだ。
『でもロイファには自由に生きて欲しいの。私が心配だからって一緒にいてくれるけど…ロイファにはロイファの人生があるから』
「そうかな〜?ぼくにはロイヤルが君と一緒にいたくて一緒にいる様に思えるよ?」
酷くゆったりとした口調で、まるで言い聞かせる様だった。ロイファは情けで私と一緒にいるのだと思ったけれど、実はそうでないのかもしれない。ロイファは自分の事をあまり話したがらないから、よく分からないのだ。
『彼女に、ちゃんと聞いてみます』
「うん」
冷たい水で食器を洗い終えて、一旦自室へと戻った。大急ぎで詰め込んできた商品達の状態を確認する為だ。1人では効率が悪いので、下でロイファと一緒に見る予定だ。
『キャット、すみません。ちょっと通ります』
「おう。…それは何だ?」
『色粉です。色粉だけお店に置いておくわけにもいかないので、とりあえず持ってきました。状態を確認して使えるかどうか確認します』
キャットは興味深そうに箱を見ていた。どうやら色粉が気になるようだ。
『状態が良いものがあれば、使ってみますか?勲章を頂いていますから、色粉の出来には自信があります』
「まぁ良いもんがあれば使ってやる」
『ふふ、はい』
箱を入り口に持って行き、ロイファと中を確認した。干し草をこれでもかと詰め込んだ甲斐があり、割れている瓶は一つもなかった。
「割れているものはないな。問題は中の状態だが」
『干し草が水分を吸ってくれたお陰で湿気ってないわ。雪だから心配してたけど…良かった』
瓶を振って確認するが、塊になっているものはなく、綺麗に均等な大きさかつ物凄く細かい粒子がサラサラと流れていた。
『これならキャットに渡しても良さそうね』
「良いのか?貴重な商品だぞ」