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猫の首に鈴をつける

第2章 旅路


『一つくらい別に良いわ。それに後程賠償金をがっぽりいただく予定だから』
「全く…お前は」
『な、何よ…。お金はあって困らないわ』
「まぁ良い。キャットに渡すのだろう。さっさと行ってこい」
『わ、分かってるわよ…』

それぞれ1個ずつ色粉を持って、作業場の扉をノックした。

『キャット。色粉の品質に問題は無さそうです。開けても良いですか?』
「ああ」

専用の瓶入れに24色をきっちり並べて、キャットに差し出した。

「粒が細かいな」
『そうですね。粒が大きいと色斑の原因になってしまいますから、できるだけ小さくして、かつ均等になるように臼で碾いています』
「普通は乳鉢でちょっと擦って終わりだしな」
『ええ。擦っただけではやっぱり粒の大きさにばらつきがあるんです。だから臼で5回は碾いてますね』
「5回⁉︎銀砂糖でもそんなに碾かねえぞ!」
『でも最近は皆さん、銀砂糖妖精の教えもあって、銀砂糖を碾く回数が増えたでしょう?その前は流石に3回碾きでしたが、今は5回に増やしました』

常に需要に応える形でなくては、色粉の職人は名乗れない。私の色粉を使ってくれる人たちのためにも、期待には応えたい。

『一回使ってみて下さい。キャットが今思い浮かぶ色はどんな色ですか?』
「…黒だな。艶があって深みがある黒」
『ではこれですね。思ったより少なめでいいかもしれません』

黒い色粉が入った瓶を差し出した。キャットがそれを受け取り、コルクの栓をキュポッと抜き取る。

「こんくらいか?」
『はい。それで自分が納得のいくまで練ってみて下さい』

まだ銀砂糖が熱いうちに練り始めた。早々にいつもの色粉との違いに気が付いたのか、目を見開いている。

「まるでちげぇ…こんなに綺麗な黒が作れるのか…」
『黒だけじゃないですよ。他にもたくさん』

そう言うと途端に目をキラキラさせて他の色粉に目を向けた。どうやら気に入ってくれたようだ。

『好きなように使って下さい。お店、閉めちゃいましたから、使ってくれる人がいないと色粉も可愛そうですし』
「ああ」
『足りなくなったら言ってください。在庫、まだまだありますから』

そう言って店の入り口に戻ってきた。展示してある砂糖菓子は一つもなく、何とも寂しい雰囲気で、殺風景と言うより他無かった。

「気に入ってもらえたようだな」
『うん、良かった』
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