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猫の首に鈴をつける

第2章 旅路


『この時期は寒いわ…長いこと走っていられないのが辛いところね』
「人間は面倒だな」
『妖精は寒さは感じないって言ってたっけ』
「そうだ。暖かさだけ感じる」

この吹雪でも顔色ひとつ変えないのはそのせいだろう。体の作りというより、種族が違えばこうなる事は必然だ。

「このまま凍死されても迷惑だ。荷台にいると良い」
『ありがとう』

馬をロイファに任せて荷台に入った。荷物で窮屈だが、なんとか自分1人は入れるほどの余裕はある。

「ルイストン近郊まで走った方が良い。恐らく止まれば雪が積もって今日は走れなくなる」
『じゃあそうしましょう。仕方ないけど、キャットの家までご飯はお預けね』
「これもやむなし、か」

そのまま雪が降る中走り続けた。外にいるよりかは幾分かマシなので凍死はしない筈だ。

「此処で間違いない筈だ」
『ほんと?ありがとう、代わりにやってくれて』
「その代わり昼飯はお前だ」
『…はい』

馬車を降りて恐らくキャットの家と思われる扉をノックした。

『すみません!エレノアです!』

声を聞くと同時に扉が開いた。恐らく令嬢じゃないかと心配していたのだろう。

「お前らか」
『吹雪いてきて…急いで走らせてきました』
「荷物は?」
『まだもう少し荷台の中に』

返事をしないまま上に何も羽織らずに行ってしまった。

『キャット⁉︎』
「荷物運んでやる。お前らもそれ置いたら早く来い。部屋は2階の右だ」
『ありがとうございます。行こう、ロイファ』
「ああ」

急いで2階に上がり自分たちの荷物を置いた後、また馬車に戻った。

「これで全部か?」
『はい。ありがとうございました』
「礼はいい。飯は?食ったのか?」
『いえ…ウェストルからぶっ続けで走ってきましたから…』
「材料はある。キッチンを借りるぞ」
「いや、ベンジャミンがいる」

そういえばベンジャミンは料理が得意だと言っていた。ベンジャミンに料理をお願いするのだろう。

「おいベンジャミン!飯にするぞ」
「はぁ〜い」
『わ、私もお手伝いを…』
「いや、いい。お前達は荷解きしてろ」
『…はい』

調理場はどうやら全てベンジャミンにお任せする様だ。ロイファに作る約束をしていたが、それもまた今度になってしまう。

『少なくとも此処にいる間は、上手くやっていけるといいな…』
「今更心配することか?お前ならやっていけるだろう」
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