第9章 モブリット生誕記念『今日の主役』
まず立ち寄ったのは時間がかかりそうだった雑貨店だ。食材を吟味していたら忘れてしまいそうだったし、先にプレゼントを用意したかった。
男性に贈り物なんて、お父さんにしか経験がなかったので、一番大きな店に行くことにしていた。自分の審美眼を信用出来ないので、品揃え豊富な店の店主に頼れば間違いないはずだ。
実際自分の目に留まるのは、機能性の低い品ばかりだったので良かったと思う。
……けれどそんなことより、ずっと気になることがある。それは、エルヴィン団長のセンスが良すぎることだ!
「これなんか彼のよく使っているものに酷似しているから、確実に使ってもらえるだろう。
しかし、こういった持ち合わせていなそうな品を送るのも良さそうだ。
こっちは流行りのカフスだな。気に入るか確証はないが、良い品なのは確かだ」
ペラペラと、品物の解説を店主顔負けにしながら手に取って見せてくれる。
それのどれも説得力がある上に、モブリットさんが実際に使ってくれている所を想像出来る言葉選びで、しかもめちゃくちゃ似合っているものだから圧倒されてしまう。
これ、私居ない方が良かったのでは?と思うほど。
あれ、私ここに何しに来たんだっけ?