第9章 モブリット生誕記念『今日の主役』
早くも読書嫌いの心がぽっきり音を立てて折れそうになるも、受付で静かに本を読んでいる司書に意図を伝えると探して持ってきてくれるというので胸をなで下ろした。
席に座って待っていろと言われたので、誰も座っていなかったテーブル席に掛けて本を待った。
窓の外で元気に走り回る子供を見ていると、聞きなれた声で名前を呼ばれた。
「ぶ、分隊長?!」
「しーっ!」
人差し指を口に持ってこられ、慌てて周囲を見渡す。
幸い周りには誰もいなかった。
しかしまずい。分隊長がいるということは、モブリットさんも近くにいる可能性がある。
キョロキョロと辺りを確認するも、分隊長の斜め後ろにいつもいる姿がいなかったためふうっと息をついた。
「あれ?声掛けない方が良かった?」
「ち、違うんです」
掻い摘んで説明すると、ハンジさんは納得した顔で手を打った。
「なるほどね。だからみんな最近よそよそしかったんだ」
「え、バレてましたか?」
「うん。でも安心して、モブリットは気づいてなかったから」
「よかった……」