第9章 モブリット生誕記念『今日の主役』
「また何か考え事でもしてたの?」
講義が終了してから、アルミンが話しかけてきた。
なにか気になることがあると座学も訓練も手がつかなくなる私の性分は、エレンの不名誉なあだ名と共に、104期訓練兵団の間で周知の事実とされていた。
「うん。モブリットさんの誕生日会を開こうと思ってさ」
周りを見回して本人が居ないことを確認してから、小声で先程の計画書を差し出した。
飾り付け担当や部屋の申請はニファさん、アーベルさんが名乗り出てくれて、計画を気取られないように根回しをするのはケイジさんがやってくれている。その項目はすでにチェックが付いていた。
残る仕事は最重要である料理の組み立てと買い出し、試作となっている。
商人の家出身で食に詳しい私がそこを担当することにはなったのだが、食料がまだ豊富にあった時代の知識では副長をあっと驚かせ喜ばせることのできるようなメニューが思い浮かばず、計画は難航していたのだった。