第8章 リトルボーイ
ボフンッ!!!!
「わっ」
「うっ」
突然奇妙な音がして膝の上や目の前が熱くなり、鼻や口に入り込んだ蒸気のようなもので咳き込む。
まるで巨人が蒸発する時の煙みたいだ!
目をゆっくり開けると煙で染みつつも次第に視界が開けてくる。
薄くなった煙の中にいたのは、驚いた顔で私を見る大人の姿のモブリットさんだった。
鼻と鼻がぶつかりそうな距離で、しばらく無言のまま見つめ合う。
「す、すまない!!!」
「い、いいえ!!」
慌てて飛び退くモブリットさんの耳が赤いことに気づく。私も恥ずかしくなってきた。
子供とキスをするなんて犯罪めいたことは確かに嫌だったけど、もう少しで好きな人と唇が重なっていたのかと考えると惜しいような、これで良かったような…複雑な気持ちだ。
「い、一体俺はどうして…ここはジェスの部屋か?」
「はい、そうです…。ハンジさんに、子供になった副長をお世話するように頼まれまして……」
「……そういえば、試験管に入った謎の液体を飲まされてからの記憶が朧気だ…」
うっ、と唸って頭を押えたモブリットさんに駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「あ、ああ…。すまない、大丈夫だ」
すっと手を振り払われて少し悲しい。
ここまでの記憶も無いと知って、改めて複雑な気持ちになった。