• テキストサイズ

【短編集】海を見に行こう

第8章 リトルボーイ


「はぁ、散々な目にあった……。ジェスにも迷惑をかけたな。貴重な非番の日に」

「とんでもないです!私は楽しかったですから!子供のモブリットさんといられて」

「う、うん。……少し恥ずかしいな…」

ぽりぽりと頬をかいた彼に既視感を覚えつつ、嫌われていなかったことにほっと息をつく。

「その本…」

モブリットさんが視線を送る先に私も視線を移す。
先程読み聞かせた茶色い童話の本だ。

今思えば、東洋の昔話をこちらの国の言葉で再編した珍しい書籍だったので、子供のモブリットくんも目を輝かせていたのかもしれない。

それを見て、モブリットさんはもっと顔を赤くした。
な、なぜ今、このタイミングで?!!

「ほ、本当にすまない!俺はそんなに気安く君と…欲しいと思ったわけじゃないからな!!」

捨て台詞のようにそう言って走り去ったモブリットさんを、引き留めようとした手が行き場をなくしてそのままになる。

もしかして……記憶………。

私はその場にしゃがみこむ。

「……合わせる顔がないよ〜〜ッ!!!」



この後1週間ほど、モブリットさんと目を合わせられなかったのは言うまでもない。
/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp