第8章 リトルボーイ
部屋に戻るとモブリットくんは本を読み出していた。
訓練兵時代から勉強熱心ではない私の部屋には、そこまで難しい内容のものを置いていない。今の彼にも読みやすいのか、集中して読んでいるようだった。
「なに読んでるの?」
黙って驚かせるのも悪いので、マグを目の前に置きながら声を掛けた。
「ごめんなさい勝手に…。僕でも読めそうだったので…でも、分からない文字とかもあったので、やっぱりいいです」
ゆっくり紅茶を飲み干してモブリットくんが言った。
「童話の本かあ。これね、甥っ子に読ませようと思って買ったんだけど、結局仕事が忙しくて読んであげられなくてさ…良かったら私が読み聞かせようか?」
「えっ、いいです!悪いです!」
「遠慮しないの。ほら、こっちにおいで」
ソファに腰かけ膝の上をぽんぽんと叩く。
子供ながらに恥ずかしかったのか最初は渋っていたけど、モブリットくんは私の膝の上に座って、目を輝かせていた。
彼の目線に本が来るように広げ、読み聞かせを始める。
「むかーしむかし、ある所に子供ができない夫婦がいました……」
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「……こうして、魔法で青年になったリトルボーイは、お姫様と結婚しました。その後、夫婦に孫の顔を見せてあげ、末永く幸せにくらしましたとさ。めでたし、めでたし」
「わああー!すごいね!」
「ふふ、喜んでもらえてよかった」
本を閉じた後もしばらくモブリットくんは、はしゃいでいた。