第7章 ■汗と制服
「……私なんかでよかったの?」
モブリットの気が晴れれば体が離れて、つかの間の恋人ごっこは終わるんだと思ってた。予想に反して私はモブリットの腕の中にいる。
「……ジェスが良かったんだ」
名前を呼ばれて胸がキュンとしてしまう。ずるい。いつもはお前とかなのに。こんな時だけ名前で呼んで…。
この際はっきりさせてしまおう。この2人だけの時間はいい思い出として、気持ちと共に胸の中に仕舞ってしまおう。
「うそ。だって、モブリットはいつもハンジさんの話ばっかじゃん。好きなんでしょ」
「は?」
自分で言ってて泣きそうになったのに、当の本人は素っ頓狂な声で疑問符を出した。
長年の付き合いだからわかる。この顔は本当にわかってない時の顔だ。
「え、お前そんな風に思ってたのか」
「だ、だって私とは喧嘩ばっかなのに、ハンジさんの話してる時はいつも目がキラキラしてて…」
「ハンジさんはな、男だ」
「えっ」
私が言葉を言い終わる前に、苦虫を噛み潰したような顔でそう言われる。え、つまり……私は勘違いしてたってこと……?
「先輩のことは人として尊敬してるんだ。お前といる時は確かに話しすぎたかもしれないけど……高校生になってからは、昔みたいに上手く話せなくてさ……」
「でも、でもいつも私に喧嘩腰じゃん」
「それは、お前が男にモテるからっ」
今度はしまった、という顔をする。こんな百面相のモブリット、新鮮。
「………………やきもちってこと……?」
「…………………………………………」
こくり。頷く。