第7章 ■汗と制服
「おかえり」
「お前っ、やめろって言ったよな」
暑さのせいか顔を赤くしたモブリットがそう言って目を逸らした。私はそれに悲しくなって、枕を抱きしめて壁側を向く。そんなふうに言わなくたっていいじゃない。
「別にいいじゃんどこで寛いだって。幼なじみなんだから」
「……なんでそう…、」
後ろで麦茶が机に置かれる音と、はあーっと長いため息が吐かれる。溜息をつきたいのはこっちだ。こんなに好きなのに。
「わっ」
ぐっと肩を引き寄せられて仰向けになる。忍者よろしくモブリットはいつのまにか移動していた。私の上に。腰の上に跨られて腕をひとつに頭の上で纏められる。
小学生ぶりの至近距離と突然の展開に戸惑いが隠せない。そんな私を見てモブリットはどこか悲しそうだった。
どうしてそんな顔をするの?って聞きたかったのに、声が出ない。キスで唇を塞がれていた。
ちゅっちゅっと閉じている唇の上をモブリットの熱い唇が滑り、時折押し付けられてお互いの柔らかさを知る。思わず止めていた呼吸を口でしてしまう。
ここぞとばかりにモブリットの舌が私の口の中に入ってきた。厚みのある舌が開いた歯の間に滑り込み、歯列をなぞったり、上顎を掠めたりする。
昔モブリットの部屋で見つけたえっちな本みたいな、ねっとりした深い口付けにびっくりして舌が逃げる。
モブリットは無情にも追いかけてくる。
ついに捕まった舌は絡まり合い、繋がった唾液が重力に従って喉の中に流れ込んでくる。
初めてキスするのに、よだれなんて汚いはずなのに。
混ざりあった唾液が喉を滑り落ちていく度に私の頭はびりびりと痺れて正常な判断ができなくなっていった。